オリンピックと、それを頂点とするスポーツ業界の「経営不在」を指摘する本。白紙撤回が決まるまでの国立競技場の運営について、そして柔道・スケート・ホッケー・野球・バスケ・トライアスロンなどの各競技団体の現状について、国内外の豊富な事例と関係者へのインタビューから分析している。そこで「経営」という刀を振るい、バッサバッサと切り刻み、多くの団体にはっきりと失格の烙印を押している。「経営」を軽んじる競技団体の体質については、明治時代にその痕跡を見つけて解説する。
そもそも国立競技場やエンブレムの決定プロセスには、誰もが(それぞれ)「?」と思うツッコミどころが満載であり、するとなにかオリンピックという国家イベントを開催する前提そのものがおかしいのではと思えてくる。「経営不在」を指摘する本書は、まさにこの前提の見直しを促しており、これはオリンピック開催準備が本格化しているいまだからこそ重要な指摘である。
筆者は結論で「スポーツを通じて得られる経済的対価を最大化することこそ正しい」と断定している。この言に即刻異論を唱えたくなるひとこそ、通して読んで、その断定に至った筆者の思いを知るとよい。読後にこの断言に爽快さを感じられたなら、そこから新たにはじめられるはずである。

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2020 狂騒の東京オリンピック 単行本 – 2015/11/26
吉野 次郎
(著)
新国立競技場のデザイン、建設費を巡る騒動の最中、東京五輪開催後に「新国立ジャイアンツ球場」として
活用する案が浮上した。読売新聞グループが全面バックアップするも、永田町の主流派が猛反発、最終的に潰された。
経済合理性を無視してまで、新国立競技場を「国家のシンボル」に据える理由は何なのか。
背景を探ると、そこには「国立競技場」に対して日本人が戦前から連綿と抱いてきたある想いがあった。
日本のスポーツ界は戦前から、「金もうけは卑しい」という価値観に囚われている。
慈善事業として開催される甲子園や、観客に背を向け独自の哲学を貫く全日本柔道連盟。
内紛を繰り返すスポーツ団体や採算度外視で赤字を垂れ流すスポーツスタジアムが、日本各地に点在する。
米国スポーツ市場が約60兆円に成長したのに対し、日本はその20分の1の約3兆円しかない。
稼げなければ、現役選手を鍛えることも、次世代の選手を発掘することもできないにも関わらず、である。
「日本のスポーツ界はいまだ戦時下にあり」————。
経済記者が正面から取材をして見えてきたのは、時代錯誤のまま身動きが取れずにいる日本のスポーツ界だった。
弱体化が進む市場に未来はあるのか。スポーツを巡る日本の現状と課題、そして解決の糸口を
「経済的観点」から分析したルポルタージュ。
≪主な内容≫
【1章】国家の“喜劇"
破綻の序曲/14人の重鎮たち/「困ってしまった」ザハ設計事務所/
「皆で考えればいい」、JSCトップの甘い認識 ほか
【2章】遠き金メダル
甲子園200年分の売り上げ/天皇が引き出した柔道家の本音/
青山霊園で黙祷捧げる4人の老人/為末大が予言、「競技団体の半数は破綻する」 ほか
【3章】戦争の残滓
汚職政治家が残した借金/丘陵地に出現した巨大スポーツ施設群/
地元潤す集客マシン/21世紀の「軍国主義」 ほか
【4章】夜明け前
チーム1:羽生と浅田がフィギュア界にもたらす「富」
チーム2:「20億円の男」が目撃した広島カープの変貌 ほか
活用する案が浮上した。読売新聞グループが全面バックアップするも、永田町の主流派が猛反発、最終的に潰された。
経済合理性を無視してまで、新国立競技場を「国家のシンボル」に据える理由は何なのか。
背景を探ると、そこには「国立競技場」に対して日本人が戦前から連綿と抱いてきたある想いがあった。
日本のスポーツ界は戦前から、「金もうけは卑しい」という価値観に囚われている。
慈善事業として開催される甲子園や、観客に背を向け独自の哲学を貫く全日本柔道連盟。
内紛を繰り返すスポーツ団体や採算度外視で赤字を垂れ流すスポーツスタジアムが、日本各地に点在する。
米国スポーツ市場が約60兆円に成長したのに対し、日本はその20分の1の約3兆円しかない。
稼げなければ、現役選手を鍛えることも、次世代の選手を発掘することもできないにも関わらず、である。
「日本のスポーツ界はいまだ戦時下にあり」————。
経済記者が正面から取材をして見えてきたのは、時代錯誤のまま身動きが取れずにいる日本のスポーツ界だった。
弱体化が進む市場に未来はあるのか。スポーツを巡る日本の現状と課題、そして解決の糸口を
「経済的観点」から分析したルポルタージュ。
≪主な内容≫
【1章】国家の“喜劇"
破綻の序曲/14人の重鎮たち/「困ってしまった」ザハ設計事務所/
「皆で考えればいい」、JSCトップの甘い認識 ほか
【2章】遠き金メダル
甲子園200年分の売り上げ/天皇が引き出した柔道家の本音/
青山霊園で黙祷捧げる4人の老人/為末大が予言、「競技団体の半数は破綻する」 ほか
【3章】戦争の残滓
汚職政治家が残した借金/丘陵地に出現した巨大スポーツ施設群/
地元潤す集客マシン/21世紀の「軍国主義」 ほか
【4章】夜明け前
チーム1:羽生と浅田がフィギュア界にもたらす「富」
チーム2:「20億円の男」が目撃した広島カープの変貌 ほか
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BP
- 発売日2015/11/26
- ISBN-104822279383
- ISBN-13978-4822279387
出版社より
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サイバーアンダーグラウンド / ネットの闇に巣喰う人々 | テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか | なぜ2人のトップは自死を選んだのか | 2020 狂騒の東京オリンピック | |
カスタマーレビュー |
5つ星のうち3.8
72
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5つ星のうち3.2
18
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5つ星のうち3.8
20
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5つ星のうち4.2
6
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価格 | ¥1,760¥1,760 | ¥1¥1 | ¥179¥179 | ¥221¥221 |
発売日 | 2020/1/17 | 2006/11/30 | 2014/4/10 | 2015/11/26 |
商品の説明
著者について
吉野 次郎 (よしの・じろう)
日経ビジネス記者(日本経済新聞に出向中)。慶応義塾大学環境情報部を卒業。1996年、日経BPに入社。
「日経コミュニケーション」編集部で通信業界を、「日経ニューメディア」編集部で放送業界を取材する。
2007年から「日経ビジネス」編集部で電機業界、自動車業界、経済事件を担当。2015年4月から日本経済新聞社に出向。
2015年10月から企業報道部に所属。著書は『テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか』(日経BP社、2006年)、
『なぜ2人のトップは自死を選んだのか JR北海道、腐食の系譜』(日経BP社、2014年)がある。
日経ビジネス記者(日本経済新聞に出向中)。慶応義塾大学環境情報部を卒業。1996年、日経BPに入社。
「日経コミュニケーション」編集部で通信業界を、「日経ニューメディア」編集部で放送業界を取材する。
2007年から「日経ビジネス」編集部で電機業界、自動車業界、経済事件を担当。2015年4月から日本経済新聞社に出向。
2015年10月から企業報道部に所属。著書は『テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか』(日経BP社、2006年)、
『なぜ2人のトップは自死を選んだのか JR北海道、腐食の系譜』(日経BP社、2014年)がある。
登録情報
- 出版社 : 日経BP (2015/11/26)
- 発売日 : 2015/11/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 224ページ
- ISBN-10 : 4822279383
- ISBN-13 : 978-4822279387
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,237,911位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 29,982位スポーツ (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
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2015年12月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
わかりやすく、読みやすくて一気に読みました。
一般の、普通の人が知りえない事をほりさげていてとても興味深く読みました。
一般の、普通の人が知りえない事をほりさげていてとても興味深く読みました。
2016年1月16日に日本でレビュー済み
経済紙記者の嘆息が聞こえる…
素人が舵を取りガバナンスもままならない補助金漬けの各競技団体
祭りの後、ランニングコストに税金を注ぎ込む採算度外視のスタジアム
「商業的に利用しない」という憲章に呪縛され慈善事業と化した伝統の大会
そして野放図なプランのまま迷走した新国立競技場整備計画
嘆き一辺倒だけではない
巧みなマーケティングで補助金漬けから脱しメダルを狙う或る連合
放映権などアスリートの商業利用で選手強化・新人育成の好循環を生み出した某連盟
観客の好奇心を駆り立てる様々な趣向を凝らし観客動員記録を更新しているスタジアム
そしてエンターテインメントスポーツの本場アメリカの経済合理性にかなった豊富な事例。
若干不満もある
なぜ現在も人気の「大相撲」を取材しなかったのか?江戸時代以来、興行=エンターテインメントとして成立していた相撲から得られるスポーツ商業化のヒントはなかったのだろうか(アメフトのケースも挙げているのでオリンピック種目ではないからというのは理由にはならない)
生前福沢諭吉が「拝金宗の教祖」と罵られたようにそもそも「金儲けは不浄」という観念は、アマチュアリズムを鼓吹する外国人教師に教わるまでもなくスポーツ界のみならずもともと世の中に瀰漫していた風潮だったのではないのか
題名は「狂騒の東京オリンピック」だが、話題の新国立競技場整備計画の顛末だけでなく日本スポーツ界の歪な懐事情とメンタリティーそして商業化の様々な試みを知ることができる良質なルポルタージュかつ好個の一冊だ
冒頭のどこかで聞いた問いかけに「スポーツでお金儲けは悪いことですか?」
おそらく著者はこう答えるだろう「正しいことです」と
素人が舵を取りガバナンスもままならない補助金漬けの各競技団体
祭りの後、ランニングコストに税金を注ぎ込む採算度外視のスタジアム
「商業的に利用しない」という憲章に呪縛され慈善事業と化した伝統の大会
そして野放図なプランのまま迷走した新国立競技場整備計画
嘆き一辺倒だけではない
巧みなマーケティングで補助金漬けから脱しメダルを狙う或る連合
放映権などアスリートの商業利用で選手強化・新人育成の好循環を生み出した某連盟
観客の好奇心を駆り立てる様々な趣向を凝らし観客動員記録を更新しているスタジアム
そしてエンターテインメントスポーツの本場アメリカの経済合理性にかなった豊富な事例。
若干不満もある
なぜ現在も人気の「大相撲」を取材しなかったのか?江戸時代以来、興行=エンターテインメントとして成立していた相撲から得られるスポーツ商業化のヒントはなかったのだろうか(アメフトのケースも挙げているのでオリンピック種目ではないからというのは理由にはならない)
生前福沢諭吉が「拝金宗の教祖」と罵られたようにそもそも「金儲けは不浄」という観念は、アマチュアリズムを鼓吹する外国人教師に教わるまでもなくスポーツ界のみならずもともと世の中に瀰漫していた風潮だったのではないのか
題名は「狂騒の東京オリンピック」だが、話題の新国立競技場整備計画の顛末だけでなく日本スポーツ界の歪な懐事情とメンタリティーそして商業化の様々な試みを知ることができる良質なルポルタージュかつ好個の一冊だ
冒頭のどこかで聞いた問いかけに「スポーツでお金儲けは悪いことですか?」
おそらく著者はこう答えるだろう「正しいことです」と