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中国:景気対策の減税頼みがより鮮明に-債務増でインフラとは距離

  • 当局者は15日、「より大規模な」減税を行う方針表明
  • 全体のインパクトは約2兆元、GDPの1.2%相当-JPモルガン

中国政府は景気減速への対応策で減税頼みをますます強めている。無駄も多かった過去のインフラ刺激策から距離を置き始めている。

  経済指標が悪化する中で中国当局者は15日の記者会見で、「より大規模な」減税を今後行う方針を示した。JPモルガン・チェースのエコノミストらは全体のインパクトが約2兆元(約32兆円)、国内総生産(GDP)の1.2%相当に達すると推計している。

  政府は昨年5月、製造業と輸送、建設、通信、農産品を対象に増値税(付加価値税)の引き下げに踏み切った。その後、個人所得減税や税控除の拡大も実施。国務院は今月、小規模企業向けに年2000億元規模の減税計画を発表した。

  こうしたアプローチの変更は主に中国が抱える高水準の債務が原因だ。2008年の金融危機直後のように橋や鉄道の整備で調達する資金が膨らめば、金融の安定が脅かされる。ただ、世界経済の減速や対米貿易摩擦を背景に、新たな手法が景気安定化に十分なのかは分からない。

  朱海斌氏などJPモルガンのエコノミストチームはリポートで、数年にわたる過剰投資が低効率と債務急増につながり、中国政府が「その問題を把握した」と指摘。徴税を強化すれば効果は下がるかもしれず、減税の景気への波及も不透明で、景気押し上げ効果は小幅にとどまる公算があるとも分析。全体として減税でGDPの伸びが0.46ポイント押し上げられる可能性があると記述している。

原題:China Is Making Tax Cuts the Key Weapon Against the Slowdown (1)(抜粋)

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