【江尻良文の快説・怪説】
ドラフト前日の25日と当日の26日に、侍ジャパンの稲葉篤紀監督(45)が初指揮を執ることになった。公式デビュー戦の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」(11月16-19日=東京ドーム)に向けて予行演習とは恐れ入る。
稲葉監督は宮崎で開催中のフェニックスリーグで、自らがスポーツ・コミュニティー・オフィサーを務める日本ハムの2軍を率いる。25日に広島2軍(天福)と、26日には四国アイランドリーグplus選抜(アイビー)と戦う。日本ハムの2軍監督代行でもある侍ジャパン・金子ヘッドコーチ兼打撃コーチ、建山投手コーチもベンチ入りするという。
「デビュー戦前に予行演習が必要な侍ジャパン監督なんて勘弁してくれ。大丈夫か」という球界OBの危ぐの声も当然だが、それだけではない。稲葉監督自身に罪はないが、ドラフト会議というプロ・アマ球界双方にとってのビッグイベントの前日と当日に予行演習をぶつけるとは、非常識以外の何物でもない。
しかも今年は、早実・清宮に対し史上最多の9球団以上の1位指名があるかどうか、ファンの関心も一段と高まっている。本来は予行演習とはいえ新監督が初めて指揮を執るのだから、それなりにファンの関心もあるだろうが、かつてない狂騒曲を奏でる清宮ドラフトの前では稲葉新監督の初采配がかすんでしまうのは見え見えだ。
失敗しても大きく取り上げられないように、予行演習をドラフト前日と当日にあえてぶつけたというのが本音ならば論外、とても2020年東京五輪まで持たない。「19年のプレミア12で惨敗してクビ、五輪では別の監督が指揮を執るのではないか」という球界関係者のシビアな声を一笑に付せなくなる。(江尻良文)