「大学で勉強している女子学生の5人に1人が、在学中に性的暴行を受けていると推定されています。5人に1人ですよ。(中略)これは許しがたい事実です」

 厳しい表情で語ったのはオバマ大統領だ。横にバイデン副大統領が同じように真剣な顔つきで立っている。

 あまり知られていないが、オバマ政権が最も力を入れてきた改革の1つが「大学の性的暴行を撲滅する」運動だった。

 米国では女性へのレイプが社会問題化して久しい。米女性の6人に1人が、生涯に一度は性的暴行か未遂を受けるという(米司法省調べ)。中でも被害者が泣き寝入りする確立が高いとされているのは「軍隊」と「大学」の2つの組織内で起こるものだ。

 オバマ大統領もバイデン副大統領も娘を持つ父親だということを全面に出し、「娘を大学にやったら、2割の確率で暴行を受けると考えたらとても送り出すことはできない」と訴えている。

 大学側にも問題がある。これまで校内で起こったレイプ事件をうやむやにする傾向にあった。学校の評判が落ち、大学の国内ランキングで落ちることを極端に恐れているからだ。その重い腰をあげさせるために、オバマ政権はかなり踏み込んだ荒療治をしている。

被害者は新入生

 定期的にビデオなどで、大学生に向けてメッセージを発しているのはバイデン副大統領だ。最近のビデオでも、人気俳優数人と共に、レイプ撲滅のメッセージを発信している。