日独裁判官物語
  • 10 年前
映画「日独裁判官物語」

 日本とドイツの裁判官の違いを浮き彫りにしつつ、日本の裁判官のあり方について問題提起するドキュメンタリー映画です。
 映画では、日本の裁判官たちが、日々の仕事のハードさを嘆き、市民集会で発言すれば処分され、最高裁から睨まれると人事や給料で差別されることを語ります。一方で、ドイツの裁判官がスクーターで裁判所に通勤する様子、普通の市民と同じように地域の人々と交流し、自由に意見交換する様子などが映し出されています。日本の裁判官をめぐる問題点がドイツとの対比でよくわかります。
 
 5月から裁判員制度が導入され、市民が裁判に参加するようになります。
多くの人は、裁判官というと難しい法律を理解していて、物事を公平に判断できる人だと思っているのではないでしょうか。したがって、多くの人は、素人が裁判に参加しても、裁判官の言うことに異議を唱えるなんてことはできるはずはない、と感じているのではないでしょうか。
 日本では被告人の99%が有罪になります。裁判官は、検察官が起訴した、ほぼ全員の被告人を有罪としているのです。したがって、裁判員裁判に参加する市民はお飾りにされるだけだという指摘もあります。
 しかし、裁判官も人の子です。多くの裁判をかかえて四苦八苦し、できるだけどんどん処理していきたいというのも人情ですし、同時に、決して無辜を罰してはならないとも思っており、その狭間で悩ましい日々を送る裁判官も多くいるのではないでしょうか。
 裁判員制度の導入にあたってはいろいろな検討課題がありますが、裁判への市民の積極的な参加が日本の裁判を大きく改革していく可能性を持っていると思われます。市民は、裁判官という人たちと彼ら彼女らをとりまく状況・問題点を理解しながら、裁判に参加していきたいものです。映画『日独裁判官物語』は、ぜひいま、多くの市民に観ていただきたい映画です。

製作:1999年
上映時間:60分
監督:片桐直樹