江沼九谷の開国~美術と産業のはざま~

2017年02月04日~2017年05月07日

幕末の開国以来、欧米諸国との貿易、明治政府による大聖寺藩の解体といった激動にさらされた加賀江沼の九谷焼。輸出に活路を見出し、「ジャパンクタニ」のブランドで海外に名を馳せた能美九谷が生産量を激増させる中で、江沼九谷が進んだ作陶の道はどのようなものだったのか。

本展では、あらたな社会の中で、生き残りをかけて「美術工芸の仕事」に取り組んだ幕末維新期の九谷焼作家の作品を紹介します。

宮本屋窯を引き継ぎ、赤絵の制作に専門特化した九谷本窯。さらには技術指導に招かれた京焼の名工永楽和全。衰微した九谷本窯の復興に尽力し、のちには窯元として活躍した塚谷竹軒と、九谷陶器会社にも陶工部長として参画した大蔵寿楽。

彦根藩の湖東焼を技術指導した卜什を父に持ち、自身も仁和寺御室御所の出仕という立場で京都とのつながりを持った木崎万亀。

大聖寺藩士の家に育ち、赤絵細描や古九谷写しをはじめとする伝統技法継承に意を注いだ竹内吟秋と、赤絵の名品を次々と意欲的に世に送り出した浅井一毫の兄弟。

多士済済の名工たちが、加賀の国の外へ、開かれた世界へと進み出て自らの技量を発揮すべく、試行錯誤の中で生み出した新たなスタイルの九谷焼作品の数々を、ぜひご鑑賞ください。